「健診で、舌の裏のスジが短いと言われたのですが…」 こうしたご相談を、親御さんからいただくことがあります。 「舌小帯短縮症」という聞き慣れない名前を言われると、「手術が必要なの?」などと心配になってしまいますよね。 ただ、舌小帯が短いと言われても、すぐに治療が必要になるとは限りません。大切なのは、お子さんの舌の動きや成長の様子を見ながら、適切なタイミングで判断していくことです。 今回は、舌小帯短縮症とはどのような状態か、放置するとどのようなことが起こりうるのか、治療を考えるタイミングについてわかりやすくお話しします。
舌小帯短縮症とは?
舌小帯って具体的にどこ?
舌を持ち上げると、舌の裏の真ん中に縦に伸びたヒダが見えます。これが「舌小帯(ぜつしょうたい)」です。 生まれたばかりの赤ちゃんの舌小帯は太く短めですが、舌が成長するにつれて細く目立たなくなっていきます。ところが、この変化がうまく進まず、舌小帯が舌の動きを邪魔してしまう状態を「舌小帯短縮症」といいます。
こんなサインがあったら要チェック
次のような様子が見られたら、舌小帯が関係しているかもしれません。
・舌を前に出すと、舌先がハート型にくびれる
・舌先を上の前歯の裏につけにくい
・舌を唇の外まで出しにくい
ちなみに、舌先を上の歯の裏につけられて、舌を出してもハート型にならなければ、治療の必要はないとされています。
舌小帯短縮症を放置すると起こりうること
赤ちゃんの時期:哺乳障害
舌の動きが大きく制限されていると、うまく吸いつけず授乳に時間がかかることがあります。ただし、舌小帯短縮症が原因の哺乳障害は、実際には多くないといわれています。
幼児期以降:発音に問題が出ることがある
日本語の「タ・ナ・ラ行」などは、舌先を上の前歯の裏あたりにつけて発音します。舌の動きが制限されていると、これらの音がはっきりしないことがあります。
食べる際に問題が出ることがある
舌は、食べ物を歯の上に運んだり、のどの奥へ送ったりする大切な役割を担っています。舌がうまく動かないと、食べこぼしが多い、飲み込むのに時間がかかる、といった問題が起こることがあります。
口呼吸や歯並びに影響することも
舌は本来、上あごに軽く触れる位置にあるのが理想です。舌が持ち上がりにくいと、舌が下がった状態(低位舌)になりやすく、お口がぽかんと開く「口呼吸」につながったり、あごの成長や歯並びに影響したりする可能性も考えられます。
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「すぐに手術」とは限りません
5歳ごろまで様子を見ることが多い
日本小児歯科学会では、「はっきりとした授乳の問題がなければ、舌小帯を切る必要はない」という見解を示しています。 また、発音の問題については、発音の機能がほぼ完成する5歳以降に判断しても、機能は十分回復するとされています。舌の動きは成長とともに良くなっていくことも多いため、早い時期に慌てて手術をする必要はないと言えます。
参考:現在における舌小帯短縮症の考え方と対応|東京医科歯科大学
手術が検討されるケースとは
5歳以降も舌の動きの制限が強く、発音に明らかな問題が残っている場合などには、舌小帯を切る処置が検討されます。 軽い場合は局所麻酔で短時間に行えることが多く、保険診療の対象です。程度によっては、言語聴覚士による発音の訓練をあわせて行うこともあります。
おうちで気をつけたいこと
日ごろから、お子さんの舌の動きや話し方、食べ方、お口がぽかんと開いていないかなどを、さりげなく見てあげてください。指しゃぶりなどのお口の癖も、舌の位置や歯並びに関わってくることがあります。
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まとめ
「舌小帯短縮症」と診断されても、多くの場合はすぐに手術をする必要はなく、成長に合わせて経過を見ながら判断していきます。 ただし、発音や食べ方、舌の位置の問題は、早めに気づいてあげることが大切です。「うちの子は大丈夫かな?」と気になることがあれば、一人で悩まずにお気軽にご相談ください。お子さんの成長に寄り添いながら、一緒に最適なタイミングを考えていきましょう。


