「最近、口の中がなんだか乾く気がする」「以前よりむし歯や口臭が気になるようになった」
そんな変化を感じている方はいらっしゃいませんか?
実はその背景には、加齢による唾液の減少が関係していることが少なくありません。唾液は単なる「口の中の水分」ではなく、歯をむし歯や歯周病から守る大切な役割を担っています。
唾液が減ってしまうと、知らず知らずのうちに歯の寿命を縮めてしまう可能性があるのです。
今回は、なぜ年齢とともに唾液が減ってしまうのか、その理由と、今日から始められる対策について歯科医師の立場からわかりやすくお話ししていきます。
なぜ年齢とともに唾液は減ってしまうの?
唾液は、耳の下や顎の下、舌の下などにある「唾液腺」という組織で作られています。この唾液腺は、年齢を重ねるにつれて少しずつ萎縮し、分泌する唾液の量が減っていく傾向があります。これは自然な老化現象の一つであり、誰にでも起こりうることです。
唾液は、食べ物を噛むことによる刺激で分泌が促されます。ところが、年齢とともに歯を失ったり、柔らかい食事を好むようになったりすると、噛む回数そのものが減り、唾液腺への刺激が少なくなってしまいます。結果として、唾液の分泌量はさらに減りやすくなってしまいます。
年齢を重ねるにつれ、なんらかの不調や病気を抱えるということが多くなってきます。毎日薬を服用している、という人も少なくないでしょう。
実は、高血圧や不眠、アレルギーなどのお薬の中には、唾液の分泌を抑える作用を持つものが少なくありません。複数のお薬を服用する機会が増える年代ほど、この影響を受けやすくなります。「歳のせい」と思っていた口の乾きが、実はお薬の影響だった、というケースも珍しくありません。
厚生労働省のでも、口腔機能の低下が全身の健康や老化と深く関わることが紹介されており、唾液の減少もその一部として捉えることができます。
唾液が減ると歯の寿命にどんな影響があるのか
唾液には、口の中の汚れを洗い流す「自浄作用」、細菌の増殖を抑える「抗菌作用」、酸で溶けた歯の表面を修復する「再石灰化」など多くの大事な働きがあります。
唾液の量が減ると、こうした天然の防御機能が弱まり、むし歯や歯周病が進行しやすくなってしまいます。せっかく治療した歯であっても、唾液の減少が引き金となって再びむし歯になってしまうケースもありますので、注意が必要です。
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唾液には口の中を洗い流す働きがあるため、量が減ると細菌が繁殖しやすくなり、口臭の原因になることもあります。「最近口臭が気になる」という場合、唾液の減少が関係している可能性もあります。
唾液を増やすためにできる対策
年齢を重ねても、次のようなちょっとした対策をすることで唾液を増やすことは可能です。ぜひ実践してみてください。
一口あたりに噛む回数を増やすことで、唾液腺への刺激が高まり、分泌を促すことができます。硬めの食材を取り入れたり、食事の際に意識してよく噛む習慣をつけたりすることが効果的です。
また、話すことでも唾液は分泌されますので、「よく話す」ということも意識しましょう。
こまめな水分補給は唾液の材料を補うことにつながります。また、耳の下や顎の下を優しく指で押すようにマッサージすることで、唾液腺が刺激され、分泌が促されることもわかっています。
口の乾きが強い、むし歯や口臭が急に増えたと感じる場合は、我慢せずに歯科医院にご相談ください。原因を確認したうえで、症状に合わせたケア方法をご提案することができます。
まとめ
年齢とともに唾液が減っていくのは、誰にでも起こりうる自然な変化です。しかし、そのまま何も対策せずに放置してしまうと、むし歯や歯周病のリスクが高まり、結果として歯の寿命を縮めてしまうことにもつながりかねません。
よく噛む習慣やこまめな水分補給など、日常生活の中でできる対策から少しずつ取り入れていただき、気になる症状があれば早めに歯科医院にご相談いただくことをおすすめします。いつまでもご自身の歯で、おいしく食事を楽しめるお口の健康を、一緒に守っていきましょう。


