「うちの子、まだ指しゃぶりをしているんですが、歯並びに影響しますか?」
このようなご質問は当院でもよくいただきます。
小さなお子さんが指をくわえるのは仕方がない部分もありますが、いつまで続けていいのか、歯並びへの影響はどの程度なのか、親御さんとしては気になってしまいますよね。
そこで今回は、指しゃぶりと歯並びの関係について、わかりやすくお伝えします。
指しゃぶりは「悪いこと」じゃない
指しゃぶりは赤ちゃんにとって自然な行動

実は指しゃぶり、なんと妊娠7か月頃の胎児の時期から始まっていると言われています。生まれてからも、赤ちゃんは口の感覚を通じて周囲のものを認識したり、不安や緊張をやわらげたりするために指しゃぶりという行動をとるとされています。
つまり指しゃぶりは、赤ちゃんにとって心と体の発達に欠かせない自然なプロセスのひとつだと考えられています。
日本小児歯科学会でも、指しゃぶりに関しては、「3歳頃までであれば無理にやめさせる必要はない」としています。この時期の指しゃぶりは歯並びに大きく影響することは少なく、成長とともに自然となくなっていくのが通常です。
参考サイト:日本小児歯科学会 Q&A歯ならび・くせ 指しゃぶりについて
1〜2歳頃がピーク、3歳頃には自然に減ることが多い
指しゃぶりは、1歳半〜2歳頃に多く見られ、その後は言葉の発達や外遊びの機会が増えるにつれて、自然と減っていく傾向があります。
保育園や幼稚園に通い始めると、集団生活の中で指しゃぶりをしなくなるお子さんも多く、ほとんどは3歳頃までには、日中の指しゃぶりはなくなっていきます。
歯並びへの影響が出始めるのはいつから?
目安は「4歳」
もしもお子さんが3歳を過ぎても日常的に指しゃぶりをしているならば、少し注意が必要です。4歳を過ぎると、あごの骨格や歯並びの発育が活発になる時期と重なるため、指しゃぶりによる悪影響が出やすくなるためです。
永久歯が生え始める5〜6歳頃までにやめられれば、歯並びへの影響が残りにくいとも言われますが、個人差がありますので、やはり4歳前までにはやめさせる、というのが目標となるでしょう。
ずっと続けているとどんな歯並びになるの?
指しゃぶりを4歳を過ぎても続けていると、次のような歯並びの問題を起こすリスクが高まります。
上顎前突(出っ歯)
指を吸う力によって、上の前歯が前方に押し出され、下の前歯は反対に後ろへ押し込まれ、いわゆる出っ歯の状態になります。
開咬(かいこう)
奥歯を噛み合わせても、上下の前歯がぽっかりと開いている状態です。開咬は前歯で噛み切れない、発音がうまくできないといった状況を引き起こします。
デコボコの歯並び
指を強く吸い続ける動作を続けていると、上あごの歯並びのアーチが内側に狭くなってしまい、将来、永久歯が生えるスペースが足りずに歯並びがデコボコになりやすくなります。
関連ページ:太っていないのに二重アゴ…それは歯並びが原因かも
参考サイト:厚生労働省 歯・口の機能 / 不正咬合の種類と実態
指しゃぶりを上手にやめさせるためのポイント
「やめなさい!」と強く叱ったり、無理やり指を口から離したりすることは逆効果です。
指しゃぶりをやめられない原因の多くは、不安やストレス、甘えたい気持ちであることが多いため、叱ることでかえって心が不安定になり、かえって指しゃぶりを誘発してしまうことにもなりかねません。
もしお子さんが指しゃぶりをしそうな場面に気が付いたら、叱るのではなく、他のことに気をそらす、体を動かす遊びをいっしょにやる、積み木やパズル、ブロック、お絵かきなど手を使って夢中になれることをやらせてみる、と言ったことが効果的です。
また、普段からお子さんとよく話をし、大きな気持ちで受け止めてあげる、ということも大事です。
それでもやめられない場合は歯科に相談を
いろいろと対策をしてみても改善しない、という場合は、歯科医院に相談してみましょう。
歯科医院では、お子さんの状況合わせた、プロによるアドバイスを受けられますし、指を口の中に入れにくくする装置の装着が勧められる場合もあります。
また、もしすでに歯並びに影響が出ている場合であっても、小児矯正での改善が可能です。
参考サイト:日本歯科医師会 口腔習癖(指しゃぶりなど)
まとめ
指しゃぶりは決して悪いものではなく、子どもの成長段階における自然な行動であり、3歳頃までは温かく見守っていただいて大丈夫です。
ただし、4歳以降も続く場合は歯並びへの影響が出やすくなるため、焦らず、叱らず、少しずつやめられるように誘導してあげましょう。
もしなかなか改善できない、という場合には、悩まずに歯科医院に相談することをおすすめします。


