せっかく入れたインプラント、長持ちさせたいですよね。 インプラント治療の予後は多くの場合良好で、お手入れの状態が良ければ数十年単位で持たせることも可能ですが、ケアが不十分だと早期に失ってしまうこともあります。 インプラントをだめにしてしまう主な原因は「インプラント周囲炎」と呼ばれるものであり、インプラントを入れている方はこの状態にならないよう、対策をしていくことが必要になってきます。
インプラントの歯周病、「インプラント周囲炎」とは

天然歯の場合、歯を失う大きな原因となるのはむし歯と歯周病です。
これらはそれぞれ、むし歯菌、歯周病菌による細菌感染症であり、歯磨き不足や糖分の摂り過ぎなどによりこれらの細菌のコントロールができなくなると発症します。
インプラントは人工物ですのでむし歯になることはありませんが、インプラント周囲に歯周病菌が感染すると、歯周病と同様の症状を引き起こす「インプラント周囲炎」にかかってしまうことがあります。
インプラント周囲炎が進行すると、歯周病と同様、インプラント周囲の骨が溶かされていき、最終的には骨がインプラントを支えきれず、抜け落ちるという事態を招いてしまいます。
インプラント周囲炎の恐ろしさ
インプラント周囲炎と歯周病は似たような病気ではありますが、次のような理由で歯周病よりも深刻化しやすく、より一層注意が必要になります。
◆細菌が深部に到達しやすい
インプラントは、骨と強固に結合しますが、天然歯のように完璧な結合の仕方を再現することは不可能で、骨や歯茎との結合の構造上、血液供給量も少ないので、細菌感染に対しての免疫が働きにくく、一度インプラント周囲炎を発症するとどんどん進行しやすいという弱点があります。
◆自覚症状が出にくいので気づきにくい
歯周病は「サイレントディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれているように、よほど重症にならないと自覚症状を感じにくい病気です。そしてインプラント周囲炎は、それよりもさらに痛みなどの自覚症状が出にくいため、ご自身で異変に気がつきにくく、発見が遅れて手遅れになる場合もあります。