虫歯は自然に治ることがある？要観察歯とは

かつてはちょっとでも虫歯と疑わしいものに関してはすぐに削る、というのが歯科界での常識でした。ですが、近年、虫歯でも治るケースがあるということがわかってきて、安易に削ることは控えられる傾向にあります。

虫歯でも治るケースがあると言われているのは、「要観察歯」「初期虫歯」と呼ばれる段階の虫歯で、かつては虫歯とみなされていましたが、現在では虫歯のグレーゾーンといった扱いになっているものです。

具体的には、歯の表面が白や茶色、黒っぽく変色していて穴があいていないものをいいます。レントゲンでも影は見えません。この段階では、歯の表面のカルシウムは溶け出している可能性がありますが、唾液中のミネラルが再沈着する「再石灰化」を起こすことで、それ以上進行しない、つまり穴があかないようにすることが可能です。

たまに、痛かった虫歯が痛くなくなったことで「治った」と思っている人がいますが、それは治ったわけではありません。この場合、歯の神経が炎症を起こしていた後に神経が死んでしまい、一時的に感覚を失ってしまったために、痛みがなくなっているだけです。このような場合には、放置していると、その後に内部に細菌感染が起こり、膿を持って強い痛みや歯茎の腫れを引き起こし、顔が腫れ上がったり、全身に細菌が回って重篤な感染症を引き起こしたりすることもあるので注意が必要です。

痛みが元々ない比較的軽めの虫歯であっても、放置は禁物です。穴が空いている限り、再石灰化が起こっても治ることはなく、徐々に虫歯は進行してしまいますので、痛みが出る前に早めに治療を受けることが大事です。